ネガデジ de しまや
tokitaro@店主 2006.1.30〜2.18開催


 PhotoShop と出会った時の感動は今でも忘れない。デジタル画像に自由にマスクを掛けて、実際の暗室作業では不可能な領域で画像を仕上げる事が出来るのに大きな可能性 を感じた。当時のPhotoShopはレイヤー機能も無ければ、アルファチャンネルも無い代物だったが、それでも感動せずには居られなかった。しかし、そ の時はパソコンも非力だったし、何よりデジタルデーターのパーソナルな入出力環境が無かった。写真をデジタルデータ化するには、高価なドラムスキャナーで スキャンをしてもらい、今の様に高性能なインクジェットプリンターも無い時代なので、出力センターでフィルムレコーダーでポジに焼いてもらう時代。到底個 人がデジタル暗室を気軽に楽しめる時代では無かった。
 個人で気軽に買える値段でフィルムスキャナーが発売された時は、ついにその時が来たと飛びついた。しかし、ネガをスキャンして夢のカラーデジタル暗室の 期待は呆気なく裏切られた。その頃のパーソナルフィルムスキャナーはポジのスキャンはマズマズだったが、期待したネガのスキャンは駄目駄目だったのだ…。

 そして今、夢だったデジタル暗室が現実となった。フィルムスキャナーは格段に性能が良くなり、一万円のプリンターが綺麗なカラープリントを吐き出す。 68030/16MHz 8MBの非力なMacで、一作業する度にコーヒーどころか風呂入る時間も余裕でかかった時代がバカバカしい。銀塩写真からデジタル写真の移行期の現代では ありますが、散々虐められた仇をとるようで、今カラーネガをスキャンしてプリントするのが楽しくて仕方が無い。
 今回の写真展はそんな私のネガとの戯れです。デジタルレタッチの利点を活かしてネガの弱点を補いながら、カラーネガに収められた情報を出来る限りプリン トに収めたい。出来上がったプリントは眠たいようで眠くない、ちょっと居心地の悪い現実離れしたプリントです。僕はこれを“二日徹夜して朝外に出た時のよ うな景色”と云ってます。万人に受けるファインプリントとは思いませんが、その虚夢感が面白いです。

僕の戯れにお付き合い戴ければ幸いです。

tokitaro@店主


 使用機材

カメラ
  • SAMSUNG SR4000
  • Canon P
レンズ
  • Schneider - KREUZNACH XENON 50/1.4
  • Carl Zeiss Jena Sonnar 50/1,5
フィルムスキャナー
  • MINOLTA DiMAGE Scan Elite II
プリンター
  • HP Photosmart 7830

開催場所:tokinon 50/1,4

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